2015年1月27日火曜日

駅前市場(荒川区南千住)

南千住といえば、山谷が近くて、川の方へ歩いて行くとザワザワ胸騒ぎしてくる町っていうイメージを持っていました。しかし、約20年ぶりにやってきたこの町は、駅前に高層ビルが建ち、拍子抜けなくら小ぎれいに再開発されているではありませんか。どこにでもあるような駅前の風景にちょいと不安を抱えつつ路地に入ってみると、ちゃあんと個人商店が営業しているし、味わい深そうな酒場の暖簾も残っていて一安心。



ぐるりと町を徘徊して駅前に戻ってきたら、ノドが渇いてきました。そろそろお酒の時間ってことで、西口のロータリーから右側の路地に入ってすぐのところに赤提灯を発見。店内は手前にカウンターが6席、奥にビールケースで作ったテーブルが3卓。

ホッピーセット380円とお通し
朝締めレバ刺し400円

壁いっぱいに貼られた品書き札やポスターよると、どうやら青森の食材にこだわっている店のようです。まずはホッピーセットの白をお願いしてメニューを吟味していたら、隣の席の常連らしき老紳士が「朝締めレバ刺し、ニンニクで」と店主に注文。これはオススメに違いないと「あ、ソレ、こっちも」とのっからせてもらいました。彼が追加で「ポパイ(ほうれん草のサラダ)を半分ね」と注文しているところを見ると、馴染みの客の好みや腹具合に合わせてカスタマイズしてくれるのかも。レバーは角がキリッと立っていて、見るからに新鮮。スッキリした旨みでホッピーに合います。


ささみ130円、砂肝100円

壁のおすすめボードには鯨ベーコンや赤ウインナーなど、オッサンが喜びそうなつまみがいっぱい。その中に千住ネギ串焼き(200円)というのを見つけまして、どうせなら地の物を食べてみようと注文。それと、青森名物料理のメニューから宮内庁御用達の地鶏、シャモロックの串焼きを注文しようとしたら、今日はハツとレバーがないとのこと(入荷状況により欠品することがあるらしい)で、ささみと砂肝を塩でお願いしました。


千住ネギ串焼き200円 
さんま刺身300円

ネギ焼きはオカカがたっぷりかかっていて、甘みを引き立ててくれます。シャモロックはしっかりした肉質で噛むほどに旨みが口の中に広がってくるタイプかな。

ホヤの塩辛300円

ホッピーを飲み干したあとは、青森にこだわっているんだから、酒も青森にしようと、八戸市五戸町の酒、菊駒の熱燗を注文。つまみはホヤの塩辛、間違いのない組み合わせです。ホヤのくせのある味わいが口内に残っているうちに熱燗を流し込むと、思わず「うふふ」と声が漏れてしまう旨さ。嗚呼、飲兵衛でよかった。

菊駒 大徳利800円、げそ焼き200円、銀鯖串焼き300円

青森の八戸はイカの水揚げ日本一で、真イカの下足はちょいと小振りで上品な味わい。写真は皮しか見えないので分かりづらいですが、八戸前沖で捕れたという銀鯖は脂のノリが凄い。串から外しただけでジュワッと脂が身から溢れてきました。


●駅前市場
営業時間 (月〜土)16:00〜24:00 (日・祝日)15:00〜23:00
定休日 年末年始
住所 東京都荒川区南千住7-29-2(南千住駅から徒歩約1分)
連絡先 03-6806-8343

(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年10月8日取材、10月11日更新分を再編集)

大衆酒場 玉井 西口店(川崎市高津区)

金額の大小にかかわらず「割引き」とか「サービス」という言葉っていいですよね。今回は面白い割引きシステムでちょっと嬉しくなってしまう酒場です。



場所は東急田園都市線の溝の口駅の正面改札を出たら右へ。西口の階段を降りると見えてくるのは、南武線沿いに伸びる戦後闇市の風情を醸し出すアーケード。数年前に火災が発生して商店街は半分くらいになってしまったけど、酒場は数件ほど残っているようです。ワクワクしながら進んでいくと、午後3時を過ぎたばかりだというのに、焼き物の煙で飲兵衛を誘っている店を発見。



手前に立ち飲み用のテーブルとカウンター、奥の方は座って飲めるカウンターとテーブル席、向かって左の階段を登ると2階は座敷になっています。カウンターでテレビを眺めながら座って飲もうと思ったのですが、店頭のビールケースを積んで作られたテーブルの「この席はじめの一杯100円」という張り紙が目に入ったので、立ち飲みすることに変更。


砂肝のにんにく和え180円

はじめの一杯で飲めるのは、生ビール(300ml)、サワー類、ハイボール、焼酎(いいちこ)、日本酒(芳泉)で、生ビールと砂肝のにんにく和えを注文しようとしたら、店員さんがもうひとつの割引きシステムを教えてくれました。最初の注文を自分で伝票に書いたら、1品あたり10円引きになるらしいのですが、たかが10円、されど10円、割引きしてもらえるなら喜んで伝票に注文を書き込みますよ。運ばれてきた生ビールは小ジョッキよりも小振りでだけど、100円ですから納得です。

一味違うレモンサワー350円
金運つくね・びっくり大串 1串150円

メニューに「溝の口ご当地グルメ」と書かれていた金運つくねは一人につき1本の限定品。黄色くて丸いものは風水で金運アップなんだそうです。つくねというよりもハンバーグみたいなボリュームで、甘辛いタレと卵黄をからめて食べると、サッパリした鶏ひき肉が濃厚で力強い味わいにパワーアップします。

ホッピーセット420円

平目刺身(小)380円

3杯目は黒ホッピーのセットにして、日替わりメニューから平目の刺身を注文。一人客には小盛り(大680円、小380円)があるのが嬉しいですね。

ハムカツ380円

ホッピーの中身をお代わりするついでにハムカツを注文したら、思っていた以上に厚みのあるハムでお腹いっぱいになってしまい、串焼きとともに名物メニューらしい金運おでんを食べるお腹の余裕がなくなってしまいました。お会計を済ませ、散歩気分でぐるりと歩いて駅の反対側の北口に出たら、そこはすっかり開発されてしまった駅前ロータリー。酔いのせいでしょうか、タイムスリップしたような錯覚で膝が崩れそうになってしまいました。


●大衆酒場 玉井 西口店
営業時間 15:00〜24:00
定休日 年末年始のみ休業
住所 神奈川県川崎市高津区溝の口2-7-11(東急田園都市線溝の口駅 正面改札口から徒歩約1分)
連絡先 044-833-5775

(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年9月24日取材、10月4日更新分を再編集)

立ち呑み処 なかや(港区赤坂)


料亭やクラブなど高級な酒場ゾーンのイメージがある赤坂にだって大衆的な立ち飲み屋があると聞いて行ってきました。東京メトロ千代田線の7番出口から赤坂通りに出たら、向かい側の歩道に渡って右へ。1階に喫茶店が入っているレンガ色のマンション脇の下り坂の路地に入ったらすぐです。



店内は手前にテーブルが2卓、奥のスペースにカウンター。壁いっぱいにお酒やつまみの品書きが貼ってあってワクワクしますね。店頭の看板にも大きく表記してあったのですが、ドリンクは一部をのぞいて7時まで100円引き。4時開店だから、ずいぶんと長いサービスタイムですね。

ゲソ唐揚げ300円
まずは生ビールとゲソ唐揚げを注文。ジョッキがちょいと小さめですが、赤坂でこの値段なんだから納得かな。


きびなご一夜干し300円
壁の品書きを眺めていると、芋焼酎と日本酒の品揃えが充実しているみたいです。ではではと選んだのは鹿児島産のきびなご。焼きと唐揚げができるらしいので、焼きをお願いしました。合わせるのはもちろん芋焼酎、薩摩宝山の水割りです。きびなごは手開きした刺身を酢味噌で食べますが、一夜干しは凝縮された旨みと苦味が口の中に広がって酒がすすみますね。

特製カレーもつ煮 各350円
本格つくね150円、レバー130円
焼酎を飲んでいたらモツ欲がわいてきたので、もつ煮と串焼きを注文。ノーマルなもつ煮もあったのですが、食べたことがないカレー味をお願いしてみました。柔らかく煮込まれた豚モツがスパイシーに味付けされていて、これならどんな酒にも合いそう。串焼きのレバーはふっくら焼き上がっていて、ねっちりした食感で旨い。手作りのつくねはナンコツと大葉が入っていて凝ってますね。コリコリした歯ごたえを愉しんだあと、爽やかな香りがやってきて、手招きして酒を誘っているようです。


日本酒(末廣)550円、スルメイカ丸干し350円
炙ったイカでお酒を愉しもうと思ったのですが、丸干しのイカの中には肝が入っていて、超濃厚な味わいでビックリ。これなら1皿でお酒五合は軽くイケてしまえそうな、飲兵衛にとってアブナイつまみです。コップ1杯だけでは済まなくて、東京のお酒、多満自慢(500円)を追加注文してしまいました。


店員さんに「夕方4時に開店して、何時まで営業しているんですか?」と聞くと「日曜と祝日以外は朝方の4時までですよ」とのこと。「えっ、そんなに遅くまで?!」と驚いていたら「近所の放送局で働いている人たちが深夜から飲み始めるんですよ。あと、同じ業者(飲食系)の人たちが店を閉めてから飲みにきますね」とニッコリ笑顔で教えてくれました。浅草と文京区白山にも系列店があるらしいので、ついでがあったら、ぜひ寄ってみたいですね。


●立ち呑み処 なかや
営業時間 16:00〜28:00(日・祝日は23:30)
定休日 不定休
住所 東京都港区赤坂6-13-19(千代田線赤坂駅7番出口から徒歩約3分)
連絡先 03-5570-7445

(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年9月18日取材、9月27日更新分を再編集)

呑ん気(品川区西五反田)


目黒川沿いを南下するように散歩していたら酒場の赤ちょうちんが灯りはじめ、そろそろ一杯やるかと路地裏に入り、赤い看板に誘われるように見つけたのが今回のお店。



JR五反田駅からだと西口に出て大きな道路(桜田通り)の左側を西へ進み、コーヒーショップとパチンコ屋の間を左折するとすぐです。店内は手前が厨房側と壁側に立ち飲み用のカウンター、奥には4人がけのテーブルが6卓。

ローストポーク220円
スパゲッティサラダ220円
酎ハイを注文して、厨房側のカウンターの上に並んでいる大皿料理を品定めしていると、店の入口に置いてある保温器の中に肉の塊を発見。店主に聞くとローストポークとのこと。ビーフじゃなくてポークってのは食べたことなかったのでスパゲッティサラダと一緒にお願いしたら、酎ハイを持ってきた店員のお姉さんがその場でお会計。注文ごとに支払いするシステムで、お釣りの小銭は灰皿に入れて戻してくれました。


チンジャオロース320円
ローストポークは見た目はチャーシューですけど、柔らかくてジューシーで旨い。メニューを眺めていて気づいたのですが、立ち飲み屋には珍しく中華系のメニューが多いんですよね。そこでチンジャオロースと餃子を注文。小皿料理でも注文を受けるごとに作るらしく、店主が中華鍋を振った熱々の料理が運ばれてきました。これは嬉しいですね。

バクダン300円、餃子220円
バクダンとは甲類焼酎の生ビール割りなんだそうで、なにも知らずに飲めばホッピーと思うかも。名前ほどインパクトはありませんが、逆に飲みやすいのがバクダンが危険なところですね。チンジャオロースは小皿盛りながらも具だくさんで食べごたえあり。餃子は揚げてあって、タレなしで食べられました。

秋ウコンサワー350円、みつばとあげの二杯酢220円
小一時間ほど飲んでいたら、奥のテーブル席もカウンターも混んできたので、仕上げに壁に貼ってあるメニューの札から、みつばとあげの二杯酢、それと肝臓のことを気づかって秋ウコンサワーを選んでみました。ウコンだけでなくシークァーサーのエキスが入っているような色合いのサワーは甘酸っぱくて想像していたより飲みやすいですね。クセのありそうな常連さんたちの会話を小耳に挟みながら飲み干すと、身体にいいのか悪いのか分かりませんが、すっかり酔っぱらっていました。


●呑ん気
営業時間 17:00〜23:00
定休日 土曜・日曜・祝日
住所 東京都品川区西五反田1-2-6(JR五反田駅から徒歩約3分)
連絡先 03-3490-5719

(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年9月13日取材、9月20日更新分を再編集)

鳥升 本店(渋谷区道玄坂)

駅の改札へ向かおうとしていたのに気がつけば煙に誘われて焼き鳥屋にいた、なんて飲兵衛にとってバミューダトライアングルよりも不思議な磁場が働いているのが井の頭線渋谷駅の西口近辺。夕暮れ時が近づくと焼き鳥の煙がもうもうと立ち込め、「おいでおいで」と誘ってくるのです。そんな魅惑の煙を放出している店のうちの一軒が今回紹介する店。


JR渋谷駅南口を出たら井の頭線のガード下を進み、五叉路からマークシティのビル沿いの坂を上るとすぐに煙の発生源を見つけることができます。店内は8人くらい座れそうなカウンターと4人がけのテーブルが2卓。夕方6時前だったけど既に満員なので2階へ案内されました。狭くて急な階段を上がると座敷になっていて、お手拭きと取り皿がセットされたテーブルが10卓ほど。

瓶ビール580円

イカ刺し380円
ひな鳥、鳥肝 各2串280円
まずは赤星(サッポロラガーの大瓶)と刺身、焼き物を注文。イカ刺しは細切りになっていてボリュームたっぷり。ワサビを醤油にといてイカそうめんみたいにして食べると、ねっちりした食感で甘みがあって旨い。焼き鳥はひな鳥と鳥肝(レバー)をタレで。ふっくらした焼き上がりで、こちらもボリュームありますね。焼き物は1品2本縛りで、いろいろ食べるのは難しそうだから、どれを選ぶか悩ましいかも。ちなみに塩焼きにはワサビが付くのがこの店のスタイルです。

手羽先 2串300円
ポテトサラダ370円
チーズ衣揚げ320円
ほぼ満員になった座敷のテーブルを眺めると、人気メニューらしいので手羽焼きとポテトサラダを酎ハイと一緒に注文。手羽の皮はパリッと身はジューシーで、オッサンたちが嬉しそうにかぶりついているのにも納得。ポテトサラダにはキュウリ、ニンジン、ムラサキ玉ねぎなどが入っていて、ジャガイモの食感を残した潰し具合がいい感じ。りんごが入っているのはポテサラ愛好家の中で賛否両論が分かれそうですね。

鳥わさ470円
お酒(熱燗)420円
鳥わさは生のササミをさっと湯通ししたタタキ風。クセがなく白身魚の刺身みたいな甘みで、ワサビ醤油で食べるとお酒をグイグイと誘う旨さ。付け合せのスライスキュウリも食感の変化を与えてくれて、いい仕事してます。熱燗は徳利に2合弱くらいかな。白いお猪口でチビチビやるのが愉しいですね。

酎ハイはちょっと琥珀色がかっていて下町風かな。若者でにぎわう渋谷にいることを忘れてしまうくらい、ゆるっとリラックスして酔える店でした。


●鳥升 本店
営業時間 17:00〜23:00
定休日 日曜・祝日
住所 東京都渋谷区道玄坂1-11-8(JR渋谷駅から徒歩約3分)
連絡先 03-3461-8333

(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年9月9日取材、9月13日更新分を再編集)